豊原國周「武智光秀・初きく・十次郎光義」(1865年・江戸時代末期)
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絵師:豊原國周
作品:「武智光秀・初きく・十次郎光義」
制作年:慶応元年(1865年・江戸時代末期)
版元: 井筒屋
彫師: 彫栄
技法:木版
サイズ:大判三枚続
全体:約 H37.3 × W75cm
各図:約 H37.3 × W25cm
コンディション:摺良・良行
ヤケ・シミ・小穴箇所・中央図、右上角裏に小さな補修あり
豊原国周による三枚続。実在の戦国時代の名将・明智光秀の生涯に着想を得た演目の場面を描いた作品。三図全てに國周の署名、版元印、改印あり。
物語の背景となるのは、日本史上でも特に有名な出来事のひとつである、天正10年(1582年)の本能寺の変です。この事件で光秀は主君・織田信長に反旗を翻し、天下統一を目前にしていた信長の歩みは突然断たれることとなりました。
左に描かれているのは、坂東彦三郎演じる武智光秀、すなわち明智光秀です。主君に背いた謀反人として、その一族に避けがたい没落が迫るなか、重い運命に直面する姿が表されています。
右に描かれているのは、市村家橘演じる十次郎光義、光秀の息子。父の行いによって一族が追い詰められる中でも、自らの名誉を守ろうとし、二度と戻れないかもしれないことを覚悟して戦場へ向かおうとしています。
二人の間に立つのは、澤村訥升演じる十次郎の許嫁、初きく。愛する人が戦場から戻らないかもしれないと悟ります。彼女が手にする兜は、切なくも、愛情、忠義、そして犠牲を象徴する印象的な存在となっています。
甲冑、刀、兜、優雅な着物や髪飾りに至るまで、細部は精密に、艶やかに美しく描かれ、背景の深みのある緑色のぼかしが三図をひとつにまとめた気品溢れる作品となっています。
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